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行こか戻ろかイギリス生活

行こか戻ろかイギリス生活

2004年11月 - ロンドンペーニャ発表会

(2004年11月14日)
アンガスとトリのアレグリアス今日はマリベル先生のクラスのみんなで、ロンドンペーニャでのミニ発表会。
ロンドンペーニャとは、ロンドンのフラメンコ愛好家達が毎月1回、ワインなんかを飲みながら、プロのパフォーマンスを観たり、合間に自分達でセビリャ-ナスを踊ったりという、要はフラメンコを楽しむ集まりだ。前はイズリントンにある教会のイベントホールで行われていたのだが、2-3ヶ月前から、トッテナムコートロード裏のスパニッシュレストランに場所が移っている。
今月のペーニャは、「皆で踊ろう!踊りたい人は誰でもどうぞ」というタイトルで、フラメンコ練習生にステージが開放される。

リハーサルの始まる6時半に行くと、昔一緒に踊った事のあるデビッド君が盛装して来ている。彼はちょっと挙動不審だが、本当にフラメンコが好きなのだ。友人のダニエルやクラスメートのアーリエの姿も見える。よくよく話を聞いてみると、彼らも今日、マリベル先生の生徒としてこの夏スペインで学んだシギリージャを発表するらしい。「あなた達と合体して、最後に皆でブレリアを踊るのよ」とダニエルに言われ、そんな事聞いてない私達はビックリ。どうも先生、どこかの段階でそういう事を思いつかれたようだが、当の先生は相変わらずまだ到着していない。

とりあえずトイレで着替えていると、ドアの外から先生の聞きなれたダミ声が聞こえてきた。「あ、先生来たね」と何となく皆で笑う。まず、最初にダニエル達シギリージャのリハーサルから。今日のギタリストはヌリアのクラスで弾いているアンガスだ。

ドレスアップした先生は、パルマを叩きながらシギリージャのリハーサルをしているが、これ、ものすごく難しい振り付けでビックリ。しかも長い。コンパスの切れ目はさすがに皆ぴたりと合わせているが、それ以外は靴の音がちょっとバラバラだ。それにしてもマリベル先生の振り付けでは、コンパスのどこをどう切ってそういうステップになるのか皆目見当もつかないような足の動きを命じられるので、コンパス自体が身についていないとちょっと厳しい。先生の振り付けでは上体や腕よりもリズムが命。本当にいい勉強をさせてもらえる。「この先生に一生ついて行こう」とリハーサルを見学しながら自分自身に再確認。

私達のタンゴのリハーサルにはシンガーが入ってきた。余計なお世話だが髭が濃い。見かけない顔である。ギタリストも今日はいつものクラス伴奏のギタリストではないので、超速い、っていうか、アンガスが普通の速さで弾くので普段5分くらいある踊りが、3分くらいに濃縮されてしまっている。これはやばい。しかもクラスではいつも先生が歌ってくださるのだが、今日のシンガーは、その歌を知らない模様。曲も変わっちゃったのである。風邪で体調が100%でない私は、全然集中できず振りを間違えてばかり。(体調がよくても間違えるけど)。これは皆でもう一回最初から通しでゆっくりやらないとまずいという思いで結束、リハーサルが終わって陰で練習する。もうそれだけで汗ビッショリだ。さすがに曲が変わってしまって先生も私達のことが気になったのかちょっと様子を見に来てくれた。

風の噂で「私達は前半に出演」と聞いたきり、客も入り始め、先生もワインを飲み始めお知り合いの方々と談笑。取り残された私達は、オロオロしてもしょうがないし、始まったパフォーマンスをとりあえず楽しむことにする。トップは10歳くらいの女の子がアレグリアスを踊った。もう、可愛くて(しかも私なんかより全然上手だ)ちょっと目がウルウルした。2番手は、それこそ70歳近いと思われる女性が、センスを使ってカラコレスを踊った。派手な動きは全然ないが、皆で「オーレ!」とハレオをかけてあげて、大変良い雰囲気。何か場所が変わって、とってもアットホームになったような気がする。

私にとっても来ている客の30%はどこかで見た顔だ。向こうはもっと私の事を知っているだろう。あちこちで一緒になるクラスメートで熱心な生徒はほとんど来ているようだ。おばあちゃんのカラコレスの後は、前にクラスで一緒になった事があるアンジェラがセミプロのグループを率いてファンダンゴとアレグリアス、タラントを踊る。彼女のグループは全員美人だ。しかもお揃いの衣装で非常に見栄えがよい。多分全部アンジェラの振り付けだと思うが、しかし不思議なほど全く足を動かさない。主要なアクセントのところで、時々「タン!」と入るのみ。上体の美しさと力強さを強調した振り付けで、特にどっしりと立った状態で拳を作ってゆっくり引き下げる動きが印象的だった。

私達のマリベル先生は動く気配もなく相変わらず楽しげに飲んでおり、とうとう前半が終わった。こうなると、どう考えても私達は後半に出演の模様。そしてインターバルになって、先生がいきなり私達をトイレに召集。ブレリアの打ち合わせが始まった。トイレの中で私達を2組に分けると、まず私達のグループがクラスでいつも練習しているブレリアNo.1(こういう風に呼んでいる)を踊り、ダニエルのグループが違うバージョン、それから私達がブレリアスNo.4を踊り最後にみんなで並ぶというもの。先生も(失礼ながら)酒が入って面倒くさいのか、適当そのもので、誰に言うともなく「最後にスカート振り回していいから」って、どこで誰がスカートを振り回すんだろう。もう先生面白すぎる。

後半真中くらいで、私達の出番。ダニエルやアーリエのシギリージャはリハーサルの時より全然良かった。で、私達のタンゴは、もうギターが速くて訳が判らないうちに終わった。シンガーが妙な所で声を出すので、私の前で踊っていた子が混乱して、コンパス2つ待つところを間違えて、皆より早く決めのポーズの大きく手を上げる振りをやってしまい、すぐ間違いに気付いて慌てて引っ込めていたのだけ妙に覚えている。そして私は、1箇所完全に、後半に出てくるべき振りと前半の(似ているけど)違う部分とを取り違えて、一人だけ変な動きをしたと思う。ギターの速さが違うので、時間の感覚がおかしくなったものと思われる。

ブレリアは、1番はフォーメーションの練習もろくにやってなかったので、誰かが間違えて、3人が前に並んで私一人が後ろという超変則な状態で終了(私は間違っていない)、3番は入るところを間違えたがとりあえずOK、と何ともとっ散らかったステージになってしまった。

ここのステージは床に板が置いてあるだけのものだが、この板が本当に良い音を出す。それは気持ちよかった。帰りに先生に挨拶するときに「間違えました、ごめんなさい」ってちょっと謝ったら(こういうところは本当に私も日本人だなあと思う)、「よくできてたわよ。間違えたとしてもそんなの問題じゃない。それより、帰り道は大丈夫?」と先生らしい受け答え。こんなに緊張感のない発表会は初めてだった。楽しかった。



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